ひざ痛はなぜ起こる?

悪姿勢立位写真
姿勢が悪いと体に悪影響する

ひざ痛の原因

ひざ痛が起こる原因は、まず背景として二足直立歩行があります。次に、膝関節の特異な構造と運動があります。

ヒトが直立しだしたのは今から約200万年前ごろだといわれ、アフリカに人類最古の足跡が残っています。二足歩行することで人類は飛躍的な進化をして文明を築き、地球を支配していったと考えられます。つまり大脳・神経系の発達と自由になった手足を使って道具を作り、大脳の発達により想像力を働かせ、言語の獲得によりコミニュケーションを図り、協力して困難を克服し社会集団を形成したことです。

 その反面、膝関節に大きな負担をかけることになります。膝関節は体の他の関節に比較して特異な構造で成り立っています。

 脛骨上部の浅い皿の上に大たい骨球部が乗っていて、歩行時は回転軸を移動しながら滑って動くのです。従って、脛骨の軟骨に大きな負担がかかります。着地するときは、大腿部の伸筋屈筋群の収縮力により膝関節にかかる体重を吸収します。従って、下肢筋力の低下、体重の増加、ジャンピングや階段を下りたりするときに負担が増します。膝には、平地歩行時には体重の4倍、階段の昇降時には体重の7倍の荷重がかかります。登山して下山するときに、早く急いでトントン下りると下肢筋群に負担がかかり「膝が笑う」といった経験をお持ちの方もあるでしょう。また、ジョギングを始めたりエアロビクスやバスケットボールなどの動作で負担が大きく掛かり、「ジャンパー膝」という症状もあります。体重が増加してから急に何か運動をしなくてはと、テニスや卓球、ダンス、エアロビクス、ジョギングや階段の昇降を始めて、膝に負担をかけ、ひざ痛になる方が多いのです。

 膝関節を伸展するときは、大腿前部の筋群が収縮しお皿の骨(膝蓋骨)を支点にして脛骨を引っ張って伸ばすのです。従って、お皿の周囲に負担がかかることになります。

 膝関節には、方向転換、ブレーキといった動作で負担がかかります。スポーツでは卓球やテニスといったスポーツで負担が大きく掛かります。

可動域では屈曲進展の二次元運動のみの制限は十字靭帯、内外側副靭帯で支えられているため、スキーやラグビーのタックルなどで靭帯損傷といった外傷がよく見られます。また、膝関節は浅く表面に出ていて外傷がおおいいのです。

 膝関節は加齢や運動不足による下肢筋群の筋力低下や体重増加による膝関節への負担の相対的増加により、お皿(膝蓋骨)周辺や側副靭帯に疲労物質の蓄積による硬化(弾力性の低下)や慢性炎症により痛みが出るのです。軟骨のすり減りは、整形外科X線の診断で指摘されますが、すり減りによって骨から痛みが出るわけではありません。なぜなら、骨には痛みを感じる神経受容器はないからです。

 結果的に、膝関節を支える靭帯に負担がかかり、硬化(シコリ)してそこから痛みが出ているのです。これは、臨床的に裏付けられているのです。「論より証拠」なのです。

(写真出典「血液循環療法入門」たにぐち書店大杉幸毅著)

*姿勢が悪いと、膝、腰、首、肩に負担がかかり、膝痛、腰痛、肩こり、首痛の原因を作る。さらに、運動不足、ストレス、夜更かし、過食(糖質過多)によるドロドロ血液により瘀血(おけつ)体質となり悪化する。

 

 

    脊柱のS字カーブ

頸椎と腰椎が前弯し胸椎が後弯する。

姿勢が悪いと頸椎と腰椎の前弯が増強し、それを支える脊柱起立筋群(抗重力筋群)に負担をかけ、結果的に長年の習慣により筋群の硬化をもたらす。




(図の出典「シコリを解けば病気が治る」大杉幸毅著)


膝関節模型
膝関節前面部

膝関節前面部

大腿直筋が靭帯となって膝蓋骨(お皿の骨)を包み込んで脛骨粗面に付着する。サッカーボールをけるなどの動作の時は、膝を曲げた状態から大腿直筋が収縮して皿骨を介して脛骨を引っ張り膝を伸ばす。そのときお皿の上下と脛骨粗面の靭帯付着部に大きな力が加わる。ジャンプして着地するときも同様に大きな力が加わる。

 関節の中に白く見えるのは、脛骨と大たい骨の間にあってクッションの役目をする軟骨と半月板がある。

 内外にあめ色に見えるのは側副靭帯で、膝が左右に曲がらないように支えている。スキーでの転倒やラグビーのタックルを受けて外力により強制的に曲げられると靭帯損傷を起こす。

膝関節模型写真
膝関節側面部

膝関節側面

大腿直筋が膝蓋骨を包みこんで脛骨粗面に付着しているのが良く解る。膝が曲がるたびに膝蓋骨は引っ張られて支点の役目をしながら上下に移動する。

大たい骨球部は回転軸を移動しながら脛骨関節面を転がるという特殊な動きをする。

膝関節の動き
膝関節の動き(大腿四頭筋が収縮すると膝蓋骨がてこの役目をしながら脛骨を引っ張って伸展する)「血液循環療法・シコリを解けば病気がなおる」千書房刊
膝関節模型写真
膝関節後面部

膝関節後面部

関節中央にあめ色の出ているものが十字靭帯で膝が180度以上伸展しないように制限している。外力によりそれ以上の進展を強制させられると、十字靭帯損傷を起こす。